・おそらく戦後で何故か同棲している
・シン←キラだけどシン←キラというほどでもない
・ものすごい尻切れ



抜け落ちたもの

ベッドの中で僕は、もう二時間以上も目を閉じたまま眠りが訪れるのを待っている。


ざあざあと雨が降っている。宇宙にいる間は全く音が無かったから、なんだか不思議な気分だ。宇宙にいたのはほんの少しの間だったのに、静けさに慣れてしまった僕の身体はたくさんの音の中で眠る術を忘れてしまったようだ。

かたん、と何か物音が聞こえ、僕は目を開いた。

「キラさん、起きてますか?」

扉が小さくノックされ、その後控えめな声が聞こえてくる。僕はベッドから降りると、なるべく静かに、そして急いで扉に駆け寄り静かにその戸を開いた。

「どうしたの?」

僕はなるべく冷静を装いながらも、しかし心の中では鳴り響く心臓の音をどうにか静めようと必死だった。シンはそんな僕に気付くこともなく、僕の顔を確認すると不安一色だった表情をほんの少しだけ緩ませた。シンは白地のTシャツとハーフパンツという寝間着姿をしていて、右手にはしっかりとピンク色の携帯電話が握られている。僕はちらりとそれを見て、そしてシンの瞳を見た。

シンは暫く何も言わず僕の顔を窺っていたが、僕が何も言わずに待っていると静かに

「眠れないんです」

と呟いた。

僕は「それなら台所へ行ってホットミルクを飲んでおいで」と言おうと思ったが、しかしシンが望んでいるのはそんな言葉ではないことはわかっていたので、「僕もだよ」と言って微笑んだ。

シンが眠れない理由はわからない。僕はシンを部屋に招き入れると、ベッドサイドにある小さな灯りをひとつだけ点した。

「キラさんは、どうして眠れないんですか?」

ベッドに腰掛けたシンは、僕の顔を見て問う。僕は正直に言おうかどうか迷ったが、結局

「さあ、なんでだろう」

と言って誤魔化した。そして「シンはどうして眠れないの?」と問う。

シンは暫く何も言わず俯いていたが、顔をあげると「雨音がうるさくて、眠れないみたいです」と言った。「僕もだよ」と言って僕は微笑む。僕が最初に発した言葉との矛盾にシンは気付いていないようで、少しだけ照れくさそうに微笑んだ。その笑みの意味が、僕が同意したことに対してなのかそうでないかはわからないが、そうだといいなと僕は思った。









 前にもこれっぽい内容を書いたかもしれないですが、それは多分これの派生で元はコレでした。
 そして結局続けられなくてごみばこ行きに。